紙の目の話
紙には目があるのをご存じですか?
もちろん、人間みたいな目があるのではないので、「流れ目」といった方がわかりやすいかもしれません。
紙を作ることを、「紙をすく」と言います。
「すく」という漢字は、「漉く」と「抄く」の二つあり、どちらも紙を作ることを意味する漢字ですが、
前者は昔ながらの手作業で作る場合(手漉き)、後者は機械による大掛かりな製紙の場合に使います。
紙を「抄く」際には、ベルトコンベア状に回っている、大きな網(ワイヤー)の上に、
細かくした木材繊維(パルプ)を水に希釈し、流していきます。
パルプは細長いものですから、水と一緒に流れる際には、どうしても縦長方向に流れていく傾向にあります。
そのため、ワイヤーの上には、その流れ方向と平行に、パルプが並ぶことになります。
(誤解の無いよう補足すると、すべての繊維が全く同じ方向に整列しているわけではなく、
流れ方向と平行に近い角度のパルプが多いということです。)
それが紙の「流れ目」です。
家や職場にあるトイレットペーパーで試してみてください。
トイレットペーパーを引き出し、引き出し方向と垂直に、ミシン目などが入っていない位置で破ろうとすると、
まっすぐきれいに破ることが出来ないはずです。
反対に、引き出し方向に平行に、紙を細長く、割くようなイメージで破ると、まっすぐに破れるはずです。
これが紙に目(流れ目)がある証拠です。
パッケージの場合、サック箱などは正面から見て、左右方向に紙目が走っているのが一般的で、
冊子の場合は、中綴じなどの折り目に平行に紙目を入れるのが一般的です。
万が一、逆の紙目で作ってしまうと、パッケージでは、強度が極端に弱くなってしまったり、
冊子では、うまくページをめくることが出来なくなったりします。
印刷会社にとって紙の目は、見た目ではわからないだけに、非常に注意しなければならないポイントです。
今回のブログでは、「紙の目」について書かせていただきました。
紙の裏・表についても機会があれば書かせていただこうと思います